めっきの技術用語
用語一覧(物性評価・検査)
評価・検査・試験方法
外観試験
めっき皮膜の色調、均一性、欠陥などの有無を目視によって調査する試験です。
めっき膜厚試験
非破壊式(マイクロメーター等の測定器による試験、磁力式試験、渦電流式試験、蛍光X線式試験、β線法試験)、破壊式(顕微鏡断面試験、電解式試験、走査電子顕微鏡試験)、質量計測式(めっき付着量試験)などがJIS H8501:1999に規定されています。測定方法は、品物の大きさ、めっき皮膜の膜厚、素地とめっき皮膜の性質や組み合わせ、準備機器や試験装置の保有によって選定します。
めっきの硬さ試験
一般的にマイクロビッカース硬さ試験やヌープ硬さ試験が用いられます。それ以外のものとしては、材料硬さの測定方法のビッカース硬さ試験、ブリネル硬さ試験、ロックウェル硬さ試験、ショア硬さ試験なども用いることがあります。近年、薄膜では、圧子の押し込む荷重と深さから材料強度を求めるナノインデンテーション法も用いられるようになってきています。
めっきの耐食性試験
屋外暴露試験、連続噴霧試験(塩水噴霧試験、キャス試験、酢酸酸性噴霧試験)、サイクル試験、コロードコート試験、ガス腐食試験がJIS H8502:1999に規定されています。一般的には、中性塩水噴霧試験とキャス試験が使われ、めっきの等級の判定に用いられています。
レイティングナンバ
耐食性試験結果の判定には、腐食状況の外観判定以外に有効面の腐食面積率を10段階で区分した数値であるレイティングナンバ(RN)が用いられます。RN10:腐食面積率0%、RN5:1~2%、RN0:50%以上となり、RNが大きい方が高耐食性を示したことになります。
有孔度試験
皮膜のピンホールの有無を調べる方法です。鉄素材上のニッケルめっきなどでは、フェロキシル液を浸したろ紙をめっき面に貼り付けて青色斑点の出方で判定します。
めっきの密着性試験
研削試験(やすり試験、と石試験)、エリクセン試験、引きはがし試験(テープ剥離試験、はんだ付け試験)、曲げ試験、巻き付け試験、熱試験(加熱、熱衝撃試験)などがJIS H8504:1999に規定されています。一般の金属製品上のめっきでは、密着力の定量的な測定は困難で、各試験における目視による定性的な判定しか行うことができません。一部の難めっき素材(アルミニウム、チタン、プラスチック、セラミックなど)では、素地からめっき皮膜を引き剥がす力(ピール試験)が可能な場合もあります。
めっきの耐摩耗試験
砥粒による研磨摩耗(砂落し摩耗試験、噴射摩耗試験)、研磨紙とのアブレッシブな摩耗(往復運動摩耗試験、平板回転摩耗試験:テーバー式摩耗試験)、金属との摺動摩耗(両輪駆動摩耗試験:アムスラ式摩耗試験)などがJIS H8503:1989)に規定されています。それら以外に、近年ではボールやピンとめっき面を摺動させる摩擦摩耗試験も一般に用いられるようになってきています。
表面粗さ
表面の凹凸状態を数値化したもので、めっきの品質管理の項目の1つです。JISには多くの粗さパラメータが規定されています。
光沢度
めっき表面に入射した光が正反射する程度を表す量のことです。JISでは、入射角20°、45°、75°、85°と規定されており、めっきの品質管理の項目の1つです。
ハルセル試験
ハルセルは、上から見ると台形の形をした透明樹脂(アクリル)製の容器で、アノードに対してカソード(ハルセルパネル)を斜めに配置することで、試験片上に高電流密度から低電流密度の領域を作ります。この容器を用いてめっきした試験片の外観から、電流密度による外観変化を知ることができます。ハルセル試験は、めっき液の添加剤の管理などに用います。
めっきの応力測定
めっきで生じる内部応力を測定するために、スパイラルコントラクトメータ(スパイラル状の薄板金属にめっきをする時のねじれ具合を測定)、ストリップ電着応力計(短冊状の片面にめっきをして開脚量を測定)、歪みゲージ(めっき面の歪みを検出)などが用いられています。