クロムめっきとロールナビ

Chrome Plating and Roll NAVI

めっきの基礎知識

めっきの技術用語

用語一覧(めっき処理)

めっき方法に関する用語

電気めっき

電気めっきとは、直流電源を用いて陰極(品物)上でめっき液中の金属イオンを電気的に還元し、その表面にめっき皮膜を析出させる方法のことです。

無電解めっき(化学めっき)

無電解めっきとは、外部電源を用いることなく液中の還元剤を利用して金属イオンを還元し、素地(品物)の表面にめっき皮膜を析出させる方法のことです。この方法では、還元剤とめっき金属の種類には組み合わせがあります。

例:無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき

置換めっき(浸漬めっき)

置換めっきとは、めっきを処理したい品物をめっき液に浸漬することでめっき皮膜を得る方法です。この場合、素地金属が溶解してその電子によってめっき液中の金属イオンが還元されます。この方法は、金属間のイオン化傾向の差を利用します。素地表面がめっきで覆われると溶解が止まるため、膜厚は薄く、多孔質化しやすく、密着性も乏しいことが多いです。

実用化例:タンパン銅めっき、置換金めっき

めっきの種類に関する用語

単一金属めっき

単一金属のみから構成されるめっき皮膜のことです。

例:銅めっき、亜鉛めっき、スズめっき、クロムめっき、金めっきなど

合金めっき

2種類以上の金属から構成されるめっきのことです。

例:黄銅めっき、ニッケル―リン合金めっき

複合めっき

めっき液中に微粒子を懸濁させ、めっき皮膜中に微粒子を共析させためっき皮膜のことです。粒子としては、PTFE、SiC、アルミナなど様々で、共析粒子の性質によって撥水性、離型性、耐摩耗性などの表面特性が付与されます。

多層めっき

2層またはそれ以上のめっき層を積み重ねためっきのことです。めっきを多層化することで、光沢性、装飾性、耐食性、機能性などが発揮されます。

めっきの製造方法に関する用語

引っかけめっき(ラックめっき)

めっき処理したい品物を引っかけの治具(ラック、たこなどと呼ばれる)に固定して、めっきする方式です。

バレルめっき

六角形などの樽状容器内に品物を入れて回転しながらめっきする方式です。

連続めっき(ロール・ツー・ロールめっき、フープめっき、リール・ツー・リールめっき)

帯状や線状の品物や材料を、ロールから巻き出して前処理→めっき→後処理の順に適宜処理し、完了後に再びロール等へ巻き取る連続的めっき方式です。

例:表面処理鋼板、めっき電線、コネクターやフープ材へのめっき

網づけめっき

めっきしたい品物を網の上に並べ、めっきする方式です。クロムめっきでは、バレルめっきが難しいため、網づけめっき法を採って量産することがあります。

部分めっき

品物においてある部分にのみめっきをする方式です。連続めっき工程としては、ドラム、ブラシ、液面制御などの方式があり、品物の一部分にのみめっきが処理されます。

めっき用途に関する用語

装飾めっき

製品に美観(色調、彩度、光反射性、風合いなど)を付与するために行うめっきの総称です。

例:金めっき、ニッケル/クロムめっきなど

防食めっき

製品に耐食性を付与するために行うめっきの総称です。

例:亜鉛めっき、カドミウムめっきなど

機能めっき

製品の表面にめっきを利用して表面機能性(電導性、低接触抵抗、接合性、濡れ性、耐摩耗性など)を付与するめっきの総称です。

例:ニッケル―リン合金めっき、はんだめっきなど

工業用めっき

機械部品、産業機器、電子部品など工業生産等に用いられるめっきの総称です。

例:工業用クロムめっき、工業用金めっきなど

金属の腐食・活性化に関する用語

不動態とは、化学的または電気化学的に溶解もしくは反応が進まない金属表面の酸化皮膜のことです。不動態膜は、薄くて緻密で耐食性が良好です。

例:ステンレス、アルミニウム合金、クロムめっきなど

不動態化処理

金属表面を不動態化する処理のことです。一般的には、硝酸溶液など酸化性を有する溶液に浸漬することで不動態の酸化皮膜が緻密化します。

水素脆性

水素脆性とは、鋼などの金属中に水素原子が取り込まれ、それによって金属の延性あるいは靭性が低下して脆くなることを言います。めっき工程では、酸洗いやめっき処理工程で水素ガスが発生することがあり、品物中に水素が取り込まれることがあります。水素脆性を防止するには、めっき後に200℃程度の熱処理をすることが有効です。

異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)

鉄、銅と亜鉛、ニッケルといった溶液中で異なる金属が接触する際に、卑な金属の腐食が促進され、貴な金属の腐食が抑制される腐食形態のことです。電位差が0.2Vを超える金属で構成された部品では、酸浸漬で卑な金属が優先溶解するため注意が必要です。

例:亜鉛めっきによる鉄の防食、ニッケルめっきのピンホールによる鉄素地の腐食など