めっきの技術用語
用語一覧(前処理)
前処理
前処理工程
前処理工程とは、脱脂洗浄、マスキング、治具取付け等、品物をめっき槽に入れる前に行う一連の工程ことです。
マスキング
めっきが不要な部分にめっきが析出しないように保護する作業のことです。
脱脂
脱脂
めっきする品物に付着している油や指紋等の汚れを取り除く作業のことです。ねじ穴やキー溝などで脱脂洗浄が不十分であると、めっき不良(しみ・ざらつき等)や剥がれなどの密着不良が発生しやすくなります。
アルカリ脱脂
アルカリ溶液に、界面活性剤を添加したものを用いる脱脂洗浄方法です。高いアルカリ濃度、高温、長時間の浸漬処理では、素地によっては過剰溶解やアルカリ焼けを起こすため、適正条件内で行う必要があります。
溶剤脱脂
品物表面に付着した油脂、脂肪、グリースを有機溶剤を用いて溶解除去する方法です。溶剤としては、シンナー、ベンジン、灯油、塩素系溶媒などを使用します。
エマルジョン洗浄
溶剤を界面活性剤と水を混和して乳化させた溶液中に、品物を浸漬あるいはスプレーすることで脱脂する方法です。アルミニウムや亜鉛などをアルカリ脱脂液に浸漬すると著しく溶解するので、エマルジョン洗浄で脱脂洗浄します。
電解脱脂
脱脂溶液中で品物を陰極あるいは陽極として、電気を流して脱脂洗浄することです。材質や汚れ具合に応じて、品物の陰極あるいは陽極を選択するほか、極性を反転して脱脂洗浄する方式があります。
超音波洗浄
洗浄液や水洗液中で、超音波発信機によって微振動を与えて表面洗浄を促進する方法です。
酸・アルカリ洗浄
酸洗浄
酸の溶液に浸漬して、金属の表面を洗浄する総称です。
酸洗い(ピックリング)
酸洗いとは、酸溶液に長時間浸漬して錆やスケールなどを除去することです。酸洗い液に長時間浸漬する場合には、過剰溶解を防ぐために溶液に腐食抑制剤(インヒビター)を添加することもあります。
酸浸漬・酸活性(ディッピング)
酸浸漬とは、金属表面の薄い酸化皮膜を除去するために短時間、酸溶液中に浸漬することです。これによって、金属表面が活性となり、めっきの密着性が確保できます。
アルカリ浸漬
アルミニウム素材の表面には緻密で強固な酸化皮膜が形成されます。この酸化皮膜があるとめっきとの密着性が得られないため、アルミニウム素材では酸化皮膜を除去するためにアルカリ溶液に短時間浸漬します。
スケール
熱処理や高温加工によって、金属表面に形成された厚い酸化皮膜のことです。
例:鉄の黒皮など
スマット
酸洗浄やアルカリ浸漬をして金属をエッチングした際に、表面に溶け残った粉末物のことです。スマットが残留したままで、めっきをすると密着不良やざら発生などの原因になります。
デスマット
スマットを除去する作業のことです。機械的除去としては、超音波、電解処理があります。アルミニウム素材では、アルカリ浸漬後に表面に黒いスマットが残るため、硝酸溶液に浸漬して除去します。