硬質クロムめっき 耐薬品性 硬質クロムめっきは耐食性に優れ、金属光沢を長期間維持することができます。それはクロムが活性な金属で、大気環境下では表面に薄く緻密な不動態膜を形成することに起因します。 硬質クロムめっきの不動態膜について 硬質クロムめっきの耐食性は、不動態膜形成によってもたらされるものです。従って、硬質クロムめっきの不動態膜を破壊する薬品に対しては耐食性を示しません。 硬質クロムめっきの不動態膜薬品 破壊される塩酸 希硫酸 フッ酸 クロム酸 クエン酸 破壊されない濃硝酸 濃硫酸 1.塩酸に対する耐薬品性 硬質クロムめっきを再加工する場合、古いめっき皮膜は研磨機を用いて取り除くか、塩酸を用いて溶解剥離します。塩酸は硬質クロムめっきの不動態膜を容易に破壊する薬品であり、不動態膜が破壊されるとめっき表面と鉄素地間で腐食電池が形成されて腐食が加速します。 1.1 塩酸濃度と温度の影響 硬質クロムめっきの不動態膜は塩酸濃度が高くなる、または温度が高くなるとすぐに破壊され、めっき皮膜の活性溶解が始まります。 不動態膜が塩酸で破壊されてクロムが活性になる電位EF(フラーデ電位)に至るまでの時間 1.2 硬質クロムめっき皮膜の研磨の影響 硬質クロムめっきの表面に露出したマイクロクラックを研磨で閉孔し、めっき皮膜の表面平滑性を上げると不動態膜の安定性が高まります。従って、マイクロクラックが開孔しているめっき析出時の状態より、研磨した硬質クロムめっきの方が塩酸に対して耐薬品性を示します。 不動態膜が塩酸で破壊されてクロムが活性になる電位EF(フラーデ電位)に至るまでの時間 硬質クロムめっきの表面が平滑化されると、より緻密な不動態膜が形成されて安定化し、硬質クロムめっきの活性が起こりにくくなります。 2.硫酸に対する耐薬品性 硬質クロムめっきの不動態膜は希硫酸でも破壊され、めっき皮膜の活性溶解が始まります。塩酸と同様で温度が高いと、短時間で不動態膜破壊が起こります。 不動態膜が硫酸で破壊されてクロムが活性になる電位EF(フラーデ電位)に至るまでの時間 硬質クロムめっきTOP 硬質クロムめっきとは めっき工程 仕上げ加工 硬さ 耐摩耗性 耐食性 耐薬品性 めっき不良 品質管理 めっきの発注・設計 よくあるQ&A