クロムめっきの説明をしている際、
「クロムめっきとクロメートは何が違うの?」
といった御質問をいただく事があります。
6価クロム規制に伴って6価クロムフリー処理が取り上げられました。クロメートと硬質クロムめっきは双方とも処理に6価クロムの薬剤を用いますので、混同されてしまうことがあります。
ここでは、クロメート膜とはなにかについて説明します。
クロメート皮膜とは亜鉛めっきや亜鉛合金などの耐食性向上を目的として処理された皮膜で、このような皮膜を作る処理をクロメート処理と言います。
処理は、クロム酸に加え硫酸やリン酸、硝酸やフッ化物などの化学研磨剤等を含んだ溶液に処理したい亜鉛製品を浸漬し亜鉛の一部を溶解することで6価クロムを還元し、表面にクロメート皮膜を形成させます。
クロメート皮膜の種類は、光沢クロメート、有色クロメート、黒色クロメート、緑色クロメートの4種に大別できます。
膜厚は1μm以下で光沢<有色<黒色<緑色の順で、緑色クロメートが最も厚く、逆に光沢クロメートが最も薄いです。皮膜の厚さに伴って、耐食性も向上します。
クロメート皮膜は3価クロムが主体ですが、微量の6価クロムが含まれています。クロメート皮膜が破壊されても、微量含まれた6価クロムの酸化力により、亜鉛めっきと反応し、自動的にクロメート皮膜が修復されます。この能力は自己修復能と呼ばれています。クロメート皮膜が高い耐食性を長期間発揮できるのは、この能力が関連しています。クロメート品は、6価クロムを含むため、規制の影響を受け、代替処理に移行する流れが進んでいます。