今回は、めっきの硬さに不純物が与える影響についてお話をします。
電気めっきでは、金属が析出する反応と同時に副反応として水素ガスが発生します。電極表面で発生した水素の一部はめっき皮膜に共析され、めっき皮膜に取り込まれた水素は結晶格子間に侵入します。めっき皮膜への水素の混入量は、スズ<ニッケル<鉄<亜鉛<クロムめっきの順となり、クロムめっきでは約0.05%もの水素が共析していると言われています。
上図は、クロムめっきを加熱した場合のめっき皮膜の硬さと水素発生量の関係を示しています。水素がめっき皮膜から抜けるにつれ、めっき皮膜の硬さが低下しており、クロムめっきの硬さに水素の共析が関係していることが分かります。
また、水素だけでなく結晶粒の微細化や光沢性向上、内部応力減少の目的で使用される添加剤の一部もめっき皮膜に取り込まれることがあります。
次に、添加剤にポリアクリルアミド(PAA)を含む硫酸銅めっき皮膜を加熱した時の硬度変化を示しています。PAAを添加していない銅めっき皮膜は、200℃の加熱で軟化していますが、添加浴のものは硬さが低下する温度領域が高温側に移行しています。